2013年02月03日

少子高齢化に伴い労働人口が減少してきます。経済活力を維持するために、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年制の廃止のいずれか一つを選択し実施するように、高年齢者雇用安定法が改正されてきました。平成24年4月から継続雇用制度についての改正や、義務違反企業に対する公表規定が導入されます。
 少子高齢化は現実に迎えており高齢者の労働力をどのように活かすか各企業、特に中小企業は頭を悩ませている事と思われます。
 ある企業の経営陣からは「高齢者の生活を企業に丸投げしている」と批判めいた声もあるようですが、実際に少子化ですし、技術の継承問題もありますので、「高齢者の雇用、生活の安定」を目的に謳っている法律ですが、高齢労働力の有効活用を鑑みてご勘案してみては如何でしょうか。
平成25年4月からの改正内容は以下を参照してみてください。
                                
                    
Ⅰ、高年齢者雇用安定法について

60歳を超える就業希望者全員を65歳まで安定した雇用を確保する為、①から③のいずれかの措置を講じなければならない。(2006年の改正)

①定年の引き上げ  ②継続雇用制度の導入 ③定年制の廃止


Ⅱ、平成25年4月1日からの法改正のポイント                                                

①継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止                                                    
 ・継続雇用の対象者を限定する基準を労使協定で定める事がげきましたが、この仕組みが廃止されます。但し、経過措置が認められます。(詳細は下記のリンク先でご確認下さい)                                    

②継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大
 ・クループ企業(子会社、関連会社)への移籍による継続雇用が可能となりますが、継続雇用を担保とするため、企業間の契約締結が必要となります。            

③義務違反の企業に対する公表規定の導入
 ・同法律違反について、指導→勧告→企業名公表の順で罰則があります。                                                

④高年齢者雇用確保措置の運用に関する指針の策定                                                            

 【継続雇用制度の留意事項】
  ①継続雇用制度を導入する場合は、希望者全員を対象とする制度とする。
  ②就業規則に定める解雇事由又は退職事由に該当する場合は、継続雇用しないことが出来る。
   但し、継続雇用しないことについては、客観的、合理的な理由があり社会通念上相当であることが求められる。

 【賃金・人事処遇制度見直しの留意事項】
  ①継続雇用後の賃金については、高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮して適切なものとなる様に努める事。
  ②各高年齢者の意欲及び能力に応じた適正な配置、高年齢者の希望に応じた勤務が可能となる制度の導入に努める事。
  ③継続雇用制度において契約期間をむやみに短い契約期間とする事が無いように努める事。


厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1.html

tyamabluewingbeachtyamabluewingbeach at 12:05│コメント(1)労務 │

2012年10月11日

 昇進や異動の時期になると、総務関係の職場に従事している自分のところに
「管理職になったんだけど、今までの残業手当がなくなって、別に○○手当が付くようになった。
なんか手当が固定なんで、残業すると損した気分だな~。」
と愚痴をこぼしに来る方々がいます。
・・・個人的には
「その組織のリーダーになったんだから、人を育てる意味も込めて、部下に仕事を任せたら?」
「業務改善を進めて効率あげると労働時間へるんじゃないの?」
と思っていますが、一般に管理者と言われる方々の力量の個人差がありますので一概にそうも言えません。(言っちゃうともめるので面倒)
 会社の規則や建前上「管理者の職責があるから、労働時間に縛られず職務を全うしなければならない。」とか言ってなだめるのが現状です。
 この件、監督官庁からすると突っ込みたくなる要素だろうと思いますので、一応は、労基法における管理監督者の範囲は覚えておいて、会社規則と整合性がとれるように言い訳を準備しておいたほうが良いかもしれません。(結果、白黒で言うグレーと思いますが)
管理監督者の範囲を以下の通りまとめてみました。ご参考までに!!



労働基準法における管理監督者の範囲


 労働基準法における管理監督者に当てはまるかは役職名ではなく、その「職務内容」「責任と権限」「勤務態様等の実態」「賃金と待遇」により判断される。

「職務内容」
 労働時間、休憩、休日等に関する規則の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること。

「責任と権限」
 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること。

「勤務態様」
 現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまない(一般労働者と異なる)ようなものであること。

「賃金と待遇」
 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること。

上記の項目を総合的に判断した結果、労働基準法上の「管理監督者」に該当しない場合は、労働基準法に定める規制を受ける事となる。



厚生労働省からパンフレットが発行されています。
詳しくは以下のリンクをどうぞ。
管理監督者の範囲の適正化 


tyamabluewingbeachtyamabluewingbeach at 06:17│コメント(0)労務 │

2012年10月10日

労働時間は、日に8時間、週40時間までと法律で決められていますが、実際は、残業してもらわないと経営に支障があったり、体力が続く限りの生活残業で、言うこと聞かない従業員がいたりして、36協定がなければ対応できないのが大概の企業かと思います。
 36協定については法律ですので内容が難しいですし、従業員側との協定や労基署への届出など、理解と手間が必要となってきます。
 しかし、会社のコンプライアンス、従業員の意識付けのために、会社側との話し合いと従業員側との話し合いを経て、労働基準監督署に届けでる一連の手続きを行う利点はあると思いますので、ご興味のある方は以下の内容をご参照ください。


36協定について

 使用者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に提出した場合においては、労働基準法における時間に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところにより労働時間を延長し、休日に労働させることができる。

36協定に必要な協定事項
 ・時間外労働をさせる必要のある具体的事項
 ・時間外労働をさせる必要のある業務の種類
 ・時間外労働をさせる必要のある労働者の数
 ・一日について延長することができる時間
 ・一日に超える一定の期間について延長することができる時間
 ・有効期間

延長時間の限度時間
 一般の労働者
  ・一週間 ; 15時間、 二週間 ; 27時間、 四週間 ; 43時間
  ・一箇月 ; 45時間、 二箇月 ; 81時間、 三箇月 ; 120時間、 一年間 ; 360時間
 対象期間が三箇月を超える一年単位の変形労働時間制の労働者
  ・一週間 ; 14時間、 二週間 ; 25時間、 四週間 ; 40時間
  ・一箇月 ; 42時間、 二箇月 ; 75時間、 三箇月 ; 110時間、 一年間 ; 320時間

特別条項付き協定
  臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別な事業が予想される場合は、特別条項付き協定を結べば、限度時間を超えて延長することができる。なお、次の条件を満たすことが必要

 ・原則として延長時間を定める。
 ・限度時間を超える特別の事情を具体的に定める。
 ・特別の事情は、次に該当するものであること。
  ・一時的または突発的である事。
  ・全体として一年の半分を超えたいことが見込まれる事。

協定書と協定届
  上記の内容を、労働者の過半数で組織される労働組合、労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する従業員代表と協定を締結し、様式第9号の時間外労働休日労働に関する協定届けを労働基準監督署に提出する。


時間外労働の限度に関する基準リーフレットです。
以下リンクをご参照ください。
時間外労働の限度に関する基準



tyamabluewingbeachtyamabluewingbeach at 06:53│コメント(0)労務 │